みつめる21 » 小学校情報 » スクールレポート » LCA国際小学校

LCA国際小学校 スクールレポート

LCA国際小学校

LCA国際小学校はインターナショナルスクールではないとい言うと、「えっ」という顔をされる方も多いと思います。 「小学校の情報誌ではインターナショナルスクールのカテゴリーに入っているし、現にLCAのホームページのタイトルは インターナショナルスクールとなっているじゃないか。」とおっしゃる方もいます。けれどもLCA国際小学校に通うのはほとんどが日本人の児童です。 帰国子女もいますが、日本で生まれ育った子どもたちも大勢通います。多くの授業がネイティブの先生による英語で行われるという面を見れば、確かに インターナショナルスクールと言えますが、その中身は日本の学校です。今回は他に類を見ない、ユニークな小学校をレポートします。

外国人教師が教える日本人のための小学校

相模原市の認可校

インターナショナルスクールの中にはいわゆる無認可校も多く存在します。その場合は日本人の児童が卒業をしても、日本の学校を卒業したとはみなされません。つまり日本の公立中学や高校への入学は原則として認められないことになります。LCAは認可を受けた学校ですから、卒業した子どもたちは希望の進路に進むことができます。中学受験を志す児童が多いので、同校では中学受験に対応できる指導を進めています。「ん、見たことがない教科書だ」高学年の授業にお邪魔し算数と理科の授業を見学させていただきました。高学年になるとLCAでも日本人教師が日本語で授業を行う科目があります。それは中学受験科目にあたる教科です。Y塾やN塾など中学受験塾のテキストも併用しながら、受験に直結する実戦的な授業を行っています。

1クラス18人編成で全員が主役に

文部科学省が進める少人数学級は1クラス35人制ですが、LCAの定員は1クラス18名。他の小学校の約2分の1の人数です。副校長のマルティネス先生に 子供たちの特徴を伺ったところ「LCAには静かな子はいません」と笑っておっしゃいました。1年生の初めのころは戸惑う子もいますが、恥ずかしがって発言をしないような子は自然と いなくなるのだそうです。それは、先生が一人ひとりに目をかけ、声をかけ、全員が参加する授業づくりをしているということ、それを可能にするのが1クラス18人の指導体制なのでしょう。

外国人の先生との距離の近さ

続いて低学年校舎にお邪魔しました。現在は低学年校舎と高学年校舎とは別の場所にあります。これが低学年校舎の最高学年である3年生に自覚と責任を持たせることにつながっています。中学受験を意識した高学年と違い、低学年はほぼすべての授業が英語で行われています。当然ほとんどが外国人の先生です。今やネイティブの先生はどの小学校も珍しくなくなりましたが、契約講師であることが多く、授業以外で児童とかかわることはあまりありません。ところがこの学校ではネイティブの先生たちも休み時間にも休み時間に子どもたちと一緒にサッカーをしています。写真をとっていたら、子どもたち同士の言い争いが起こりました。すると先生が間に入りお互いの言い分を聞いて仲直りをさせていました。もちろん英語で。その様子を見て、児童と外国人教師との信頼関係、距離の近さを強く感じました。

新校舎移転で一貫体制を強化

LCA国際小学校

2015年度からは新しい校舎での学校生活が始まります。(詳しくは新校舎建設物語を参照)ちなみに、プリスクール(幼稚園)では100パーセント英語のみで指導が行われています。幼稚園も見せていただきましたが、 社会、理科、音楽など小学校の科目を幼児向けにアレンジした内容を英語で教えています。 副園長叶野先生に聞くと「英語が話せるというだけではここで働くことはできません。プリスクールの先生は皆優れた指導力を発揮してくれています」とのお答え をいただきました。伺ったところでは、LCAで最初にできたのは幼稚園で、その指導が保護者に受け入れられ、卒園後もLCAの教育を望む家庭のためにLCA 国際小学校が誕生したのだそうです。幼稚園から続く一貫教育がいよいよひとつの敷地内で実現します。これまでの幼稚園→低学年→高学年という3段階の学び舎のよさを残しながら、LCAがどう進化していくのか、 楽しみにしたいと思います。
LCA国際小学校 新校舎建設物語

LCA国際小学校・山口紀生校長先生インタビュー

先生は公立小学校で教壇に立っておられたと伺いました。そこからLCA国際小学校を作るまでの経緯を教えてください。

6年間公立の小学校にいました。辞めるきっかけは、変えたいと思うところがあっても組織が巨大で、ひとつ何かをやるにも大変な労力と時間がかかることがわかり、途方にくれました。ならば、自分が外に出て、こんな教育もあるんだよという形を示すことで公教育に影響を与えられるのではないかと思ったというのが一番大きな理由です。

公立小学校の教育に限界を感じたということですか。

そうですね。たとえば5年生を受け持ったとして、同じクラスに掛け算九九がおぼつかない子と教科書以上のことまですでに勉強してしまっている子がいるわけです。授業では、進んでいる子をさらに伸ばせていないし、かといって遅れている子をフォローすることもうまくできていないんです。新任のころは残って勉強をみてやることもできたのですが、中堅になってくると忙しくなってそれもできなくなってきます。すると自分の中で諦めている部分が出てくるわけです。僕は諦めたら人生下り坂だと思っていますから、そうならざるを得ない状況に身をおくことができなかったというのがひとつです。それから、自分のことを話せない子供たちが多いことも気になりました。「夏休みに何がやりたい」と聞いても、一人で答えられないんです。「おまえどうする」と子供たち同士で話が始まってしまう。 大人が聞いたことにきちんと答えられない。それはとても困ったことだと思います。大人の自分がやりたいことがたくさんあるのに、子供が自分のやりたいことを言えない、考えたこともない。日常を見てみると、学校の中ではしなければいけないことと、してはいけないことばかり言われていて、これではやりたいことを言える人間は育ちません。自分が学校を作るときは、やりたいことをちゃんと言える子を育てたいという思いがありました。

お辞めになったあと、最初にやったことは何ですか。

辞めた当初は好きなことをやろうと思って、山にこもってスキーのインストラクターを目指したこともありました。ところが足を痛めてしまって歩けない状態になりました。 生活はしなくてはなりませんから、いろいろアルバイトをしていたのですが、そんな折に近所の方から子供たちの勉強をみてくれないかと頼まれたんです。それがきっかけで、自分のやりたいことを説明して、遊びと勉強を教える塾のようなものを開いたんです。

それが成功したというわけですか。

そうですね。短期間で結構な人数になりました。 勉強ができる子もいれば、「何とかしてくれ」と困り果てて来られるお母さんと半々ぐらいでした。それで困って来られた子供たちの大多数に効果が見られて、それが評判を呼んだということがありました。ところが、そのうちに解決できない例が出てきたのです。そこがターニングポイントでした。このやり方で続けていても100パーセント解決できるわけではない。少人数なら、できる子とできない子がいても両方に対応できますが、人数が多くなると難しくなります。そこで、選択肢は2つです。できる子をさらに伸ばすか、遅れている子を救うか。私に向いているのは間違いなく、遅れている子をみることなのですが、日本の教育を変えていこうと思ったら、自分ひとりが困っている子を救うよりも、本来日本を変えられる力のある、活躍できる子たち、日本の教育システムのもとで、伸び悩んだり、勉強だけして出世していく子供たちを見ていて、そんな子供たちに勉強だけでないいろいろなことを教えて考え方を豊かにしていけば、この国を変えられるんじゃないかと思ったのです。今やっていることはその延長線上にあります。ただ、そのときに選ばなかった選択肢もずっとテーマとして残っていて、余力ができたらLCAグループの中ですべての子供たちを伸ばすことができたらいいなと思っています。

LCAはインターナショナルスクールではないのですか。

基本的には日本の学校です。きちんと子供たちのニーズに応えられる学校を作りたいだけなんです。英語もそのニーズのひとつです。子供たちが生きていく上で必要なことを身につけさせる学校にしたい。先生たちが諦めずに教育ができる学校を作りたいということなんです。いい教育をしますよと謳うだけでは生徒は集まってきません。うちの場合は英語をひとつの特色として打ち出すことでアピールできていると思いますが、自分自身ではやりたいことのひとつ、半分ぐらいのウエイトを置いているつもりです。その他、落ちこぼすことなく全員に力をつけさせたい、話し合いがしっかりできる子、自分の考えをきちんと伝えられる子に育てたい、そのために少人数のクラス編成にしています。外国人の先生と一緒にいることで客観的に日本を見ることができます。他の学校よりも日本を強く感じる場所だと思っています。日本人でありながら世界で通用する人材を育てるための学校です。そこがインターナショナルスクールと異なる点です。

先生がこれからやろうと思っていることは何ですか。

現在は、私がやろうと思っていたことが形として示せるようになってきた時期だと思っています。今のままだと1学年36人の子供にしかその教育はできません。それをもっと広めていきたいと考え始めています。ここでできた教材、やり方を他に伝えていく段階へと進みたいと思っています。先ほど申し上げた、私が公立小学校をやめるときの外から教育を変えていこうという考えが、ようやくできるのかなと思っています。特に英語教育に関してはこの学校で培ったノウハウを公立の学校で使いやすい形にアレンジして提供したいと思っています。しっかりした英語教育をするために大切なのは教材と外国人指導者です。教材はすでにLCA出版として進めていますが、たくさんのスキルを持った外国人指導者も必要です。外国人指導者を育てる仕組みを次は作っていきたいと思っています。その先に考えている仕事もあります。実は私は教師になる前、木版画家を目指していた時期がありました。結局は教育の道を選びましたが、芸術家を目指す気持ちを持つ人たちをそばで見てきました。その人たちの思いは本当に真剣で、強い意志を持っています。ところが、今の日本ではなかなか食べていけません。そこが自分の中にずっと残っています。日本という国を考えたときに、経済的には成長しある程度のレベルにはなっていますが、本当の意味で一流の国になるには芸術、文化の面をなんとかしないといけないと思います。芸術家がもっと活躍でき、日本で芸術家を目指せるような環境を作りたい。日本で芸術を学ぶことができて、アジアから留学生が芸術を学びに来るような学校を作りたいと思っています。それが10年後の目標です。

先生のお話を伺っていると、先を見ているといいますか、視野が広い方だなと感じます。

したいと思うことだけをやってきた結果だと思います。 こうやりたいと思ったら、できるとかできないとかを考えるのではなく、とにかくそちらの方向に進んでいくという、生き方をしてるんだと思います。60歳になりましたが、やりたいことはまだこれからです。友人からは定年になりましたという手紙をもらったりするんですが、こちらはこれから始まるよという感じですか。幸せを感じながら仕事をしています。

学校HP⇒LCA国際小学校